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歩きづらい舗道

所用で札幌に行ってきた。今年の豪雪はどこも同じで中心街の歩道でさえ雪かきも追いつかず、交差点を渡って歩道にあがると通常の高さより10Cm近く積もった雪の上の歩道となっている。歩道のアスファルトが出ている道東の感覚で行くと、こんな高い舗道ってありか?と思ってしまう。

 それでも歩きづらい中心街を彷徨き回って、一息入れようとパルコの裏道の昔よく通ったシャノアールという喫茶店を目差して行くと、去年まで確かにあったはずの地下にある店の入り口は様子が変わっていて、あれ、おかしいな、そんな筈はないという思いばかりで、とうとうなくなったんだなと気付くのにやや暫くかかった。
 僕が高校を出てまもなくの頃から通っていた喫茶店で、オフィス街のサラリーマンやOL、デパートの店員風がひっそり休憩時間を過ごしていたりする、やや暗めの照明の店内に低くジャズ・ヴォーカルなどがかかっている静かな店だった。
 僕は紀伊国屋や大丸藤井などに寄った後や待ち合わせで使っていたが、場所柄人が絶えることは滅多になく、まさかなくなるなど予想だにしなかったことだった。
 それでしかたなく同じ裏通りの店に入ったのだが、入り口入って間もなくの場所に昔懐かしい喫茶店のマッチの絵柄がレイアウトされている本が目に入った。

 先月の10日に出版されたばかりの『さっぽろ喫茶店グラフティ』というもので、すぐ目に付いた絵柄は、
ヴィユッフェの描いたピエロのマッチ。僕もそのマッチは自分の宝物として保存してあるが、「B♭」という狸小路にあったジャズ喫茶のものである。あまり通った覚えがないので想い出としては薄いが、そのマッチの洒落たセンスは他の店のモノと比べてピカイチだった。
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 ページを捲っていくと、昔通った店の名前が次々と。既に随分と前に店じまいをしてしまった所や、つい最近閉店したところもある。先ほどのシャノアールは去年まで続いていたらしい。
 20年以上も郷里から離れていた隔世の感もあるが、ひとつひとつに店の佇まいと共に思い出される情景があって、まさにグラフティーという思いだった。
 イレブンのウエイトレスの頭のてっぺんから発するような声、バターを使って濃厚な味のココアが美味かった北地蔵。洗練された音色を誇った名曲喫茶のウィーンに珈琲一杯で何時間もねばった。学生運動が盛んだ頃通った北大の正門近くの角地にあったドルフィンは移転したらしい・・・等々。
 この本には載ってない店もことまでもあれこれ思い出してしまった。
 喫茶店を使うという時世じゃなくなってしまたが、間違いなく僕らは「喫茶店」で想い出を作った世代だった。
 それにしても、この時世に僕はジャズ・カフェをやろうってんだから、はてさて噸だ浮世離れのおとぼけだな。

by jamal2 | 2018-02-19 00:01 | Comments(0)


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