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JAZZ一人一枚 WHEN THERE ARE GREY SKIES/RED GARLAND

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WHEN THERE ARE GREY SKIES/RED GARLAND

 アメリカ人の名前には、いくつかの種類の由来を持っていてなるほどというのがあるが、例えば職業からくるのでは、スミス(SMITH)鍛冶屋、ミラー(MILLER)製粉業者、テイラー(TAYLOR)裁縫師、ベイカー(BAKER)パン屋などがある。
また人の容姿からくるニックネームでは、ブラウン(BROWN)茶色の髪や目、ヤング(YOUNG)若い、ロング(LONG)背が高い、キング(KING)王様のようなのがある。
更に地名からくる由来ではムーア(MOORE)耕されていない土地、ヒル(HILL)丘の上、ブルック(BROOK)小川、ストーン(STONE)石などがある。
 
 ところで思い出したのが、苗字と名が同じという人の場合で、ウラジミール・ナボコフ・・・名前を聞いただけならどんな文豪かと思うだろうが、「ロリータ・コンプレックス」つまり言うところの所謂・・・「ロリコン」の語源となった『ロリータ』という作品のなかに出てくるハンバート・ハンバートという名前だ。
 この作品は難解であるうえに、発禁書となったぐらいのちょっと問題になった本だけれど、
それをずるずるだらだらと読んでは休み読んでは休みして読んでいたけれど、だんだん新鮮みを失い、肝心のところがぼやけて、読んでいる意味合いが真に受けていいものやらどうなのかはっきりしなくなり、このまま読み続けて作者の意図するものと全然ピントがあってないことになりかねない時点まできていた。
 今更元に戻って読み返す気力もなく、滅多にないことだがそこで仕舞いとすることにした。
 しかしいったいハンバート・ハンバートは義理の娘ロリータに手を出してしまったのか、つまりやっちゃたのか・・・というところが、ぼやけてしまっては後を繋いで読んでも覚束ないこととなる。なんでそこのとこがはっきりつかめずに読んできてしまったのか、・・・そんな馬鹿げた話があるもんかという方もおられようが、初めて気が付いたことだが、一冊の本を読むタイムリミットというものがあるんだな・・・ということである。
 勿論そのボリュームにもよるが、この「ロリータ」くらいのものはせいぜい3~4日あれば読めた筈だが、何の因果か10日以上経ってしまっていた。遅読の私としてはそれでも10日かと思うが、やっぱりナボコフの文体なのだろう。

 しかしこれ、主人公ハンバート・ハンバートによるギリシア叙情詩的ローことロリータへのミリ単位の接近作戦の一部始終なのである(半分も読んでないのに断言するが)。

 ということで何故そんなことを書いたのかと言えば、レッド・ガーランドの名前の由来、つまりガーランドは花輪でありレッド・ガーランドであれば赤い花輪ということになるのか?と思ったのだが、彼のことを調べてみると、レッド・ガーランド (William “Red” Garland、1923年5月13日 - 1984年4月23日) は、デビュー前にはプロボクサーでもあった。本名はウィリアム・マッキンリー・ガーランド・ジュニア(William McKinley Garland, Jr.)で、出身地はアメリカテキサス州ダラス。1945年よりテキサス州で、1946年よりニューヨークで活動を始め、1955年にリズム・セクションを率いて参加したマイルス・デイヴィス・クインテットにおいて国際的な名声を得た、とあり本名はウィリアム・マッキンリー・ガーランド・ジュニアであるのだから、レッドはどうみてもガーランドにあやかってつけたニックネームではないかと思った次第。違うかな?

レッド・ガーランドがプレスティッジに残した最後のアルバムでこのWHEN THERE ARE GRAY SKIESにはSONNY BOYとかセント・ジェームズ病院などの楚々と弾くガーランドのバラードが入っていて大好きだったアルバムなのだが、そんなものが全編占められていたとしたら、泣いて喜ぶか、逆に退屈で眠ってしまうかのどっちかだろうというのが彼のTHE NEARNESS OF YOU。でもやっぱりガーランドと言えばこれを選んでしまう。
 バラードは感情過多になると恥ずかしい。ところが、マイルスのクインテットの定位置にいた時でも同じだが彼のように肩の力を抜くところは抜いてしなやかに弾き、ブロック・コードやシングル・トーンの硬質な音質で締めるところはカチッと締めて弾くと、これは極上なのだ。スピーカーから流れる音量というのは、必ずしもデカくなくてよいのだとこれを聴いて思った。寧ろ囁くような音のほうが楚々とした感じが増して良いのかも知れない。一音一音噛みしめて弾くガーランド。それと決して出しゃばらないベースとドラム。この組み合わせが成功したアルバムなのだと納得する。

 「忍ぶ恋」。山本常朝の『葉隠』の究極の心なのだそうだがしみじみ思いつつ、このガーランドのSONNY BOYなんてスローバラードを聴くと、楚々とした纏綿たる情緒が重なってくるという塩梅で、年甲斐もなく胸がキュンとなった。こういうのを聴かされると、もうイチコロであって、黄昏れてしまったものだ。
 ハラハラと散る桜の木立の下にいるような、銀杏や楓の枯葉がハラハラと散るといった方が良いのか。
 とっておきの盤として、ジャズ喫茶の店主なら、たった一人のとっておきの人の為に鳴らそうと。自分とその客の呼吸だけが息づいている空間で、耳を澄ましているというような、そんなとっておきの時間を共有したいと夢想する。


RED GARLAND p, WENDELL MARSHALL b, CHARLIE PERSHIP:ds
Oct 9,1962
Prestige
1.SONNY BOY 2.MY HONEY'S LOVIN' ARMS 3.ST.JAMES INFIRMARY 4.I AIN'T GOT NOBODY
5.BABY,WONT'T YOU PLEASE COME HOME 6.NOBODY KNOWS THE TROUBLE I SEE
7.MY BLUE HEAVEN






by jamal2 | 2022-03-31 04:28 | JAZZ一人一枚 | Comments(0)


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