好きなのか嫌いなのか自分でもわからないような映画や小説がある。小説の方はともかく小津安二郎監督の作品というのが私にとって最たるものだ。というものの全く小津作品のことは詳しくはなく、監督作品では「東京物語」と「秋刀魚の味」を観た切りでしかない。 何も起こらないという評でいったいどんなものかと観てみたのだけれど、どんなストーリーだったかも記憶にないほどだ。ただ娘の結婚を心配する父親という役柄の笠智衆のおっとりとした人柄が醸し出すゆったりとした流れを感じさせる雰囲気だけは感じ取れた気はする。 小津ファンから言わせれば、お前なんかに小津の良さがわかるもんかと言われるのだろうが、全くそうで返すことばもない。 話は変わるが最近のジャズ喫茶の風景というのが、嘗ての我々昭和世代の過ごし方と違っている気がする。 一見してわかるのが、カウンターでも他の椅子席でもひたすらスマホを観ながら、聴いているのか聴いてないのかわからないような客の風景だ。 私の2,3歳うえの世代は学生運動さかんな頃で、デモの帰りにジャズ喫茶に寄って詩集を読みながらとか、熱気を引きづってそれを冷ますかのようにジャズの大音量に埋まって聴いてたとからしいが、それほどではないけれど、私位でもコーヒーカップを前にしてひたすら沈黙して一音も逃すまいと聴き入っているという前向きな姿勢があったように思う。 そこら辺と比べて一括りに言うと失礼なのかもしれないけれど、夢中度が違うのではと勝手に思ったりもする。 で、ガーランドのこのアルバムTHE NEARNESS OF YOUだが、とにかく小津作品ではないが、何も起こらない。ただただ静かな時間が流れていて別に何かしていて聞き逃しても一向にかまわないと思ってしまうアルバムだ。 全曲よく知られたスタンダード・ナンバーをやっていて、それを穏やかに演奏しているという印象がある。私もついつい途中でスマホをいじったりして聴いていたくらいだ。 何をしていても全く邪魔にならない。 特段ここがという印象が残らない。 そういう意味では好きなのか嫌いなのかわからないというのが私の印象だ。 そんなことを言ったらガーランドに怒られるかもしれないし、小津作品の良さがわからない程度にこのアルバムの良さがわかっていないのかも知れない。 何も起こらないアルバム。それもアリかも。 RED GARLAND p , LARRY RIDLEY b, FRANK GANT ds 1961,Nov.30 RIVERSIDE Why was I born, The Nearness of You, Where or When, Long ago and Far Away,I Got it Bad ando That Ain’t Good, Don’t Worry abouto Me, Lush Life, All Alone
by jamal2
| 2022-05-25 19:57
| 暮らしとジャズ
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