同じスタイルにじっとしていられないジャッキー・バイアードの変態ワールド全開。 目の前がグルグル回る幻覚症状をおこさせたり、スウィングしてたかと思えばフリーに走ったり。 エルヴィン・ジョーンズもダヴィッド・アイゼンソンもその世界によくつきあっている。 一度はまると病みつきになる依存性がある。 このアルバムでの演奏は様々なスタイルのなかで「遊ぶ」姿という音を楽しむという本来的なエンターティメントといえるのではないだろうか。 ラグタイムからフリー・フォームまで、いやクラシックにおける現代音楽の要素さえ取り入れてダイナミックに演奏するという大きな振れ幅を持って、どのスタイルにも安住しない反骨精神さえ感じる。そういう意味ではあらゆるスタイリストを嘲笑うかのようだ。 ここら辺が幾つかのアルバムで共演したローランド・カークと気脈の通じあえるところかなと思う。 Jaki Byrd-p, David Izennzon-b, Elvin Jones-ds 1967 Prestige え!これが1955年リリースのアルバム?・・・というほど 音像が際立っている。 ビ・バップの演奏をこんなに鮮明な音で聴いたことがない。 サヒブ・シハブとフィリー・ジョー・ジョーンズが加わっていることで入手。 何といってもフィリーがこのアルバムの立役者、というほど彼のドラミングに注目してしまう。 瞬発力のあるビ・バップ・チューンを生き生きとした音として活性化しているのは彼の功労だ。 ハワード・マギーの10インチ時代のBLUE NOTEとの比較はしていないけれど、成熟の度を増しているのだろう。 スロー・ミディアムの各曲も噛みしめるように聴くことが出来る。 Howrd McGhee-tp, Shaib Shihab-bs, Duke Jordan-p, Percy Heath-b, Philly Joe Jones-ds 1955 BETHLEHEM この哀感は凛としている。ヒッコリーハウスのユタ・ヒップとか、ミッシェル・サダビーのBLUE SUNSETとか、それにクリフォード・ジョーダンのIn The World。根こそぎ気持ちが洗われて更紗のようになる。パリの空の下にいくと皆こんな調子になるのだろうか。 救いのない私小説じゃこうはいかない。やっぱりハンフリー・ボガードとバーグマンの出てくる奴じゃなきゃ。 とあるジャズ喫茶で度々かかることがあった。その度に客の表情や仕草が変わる。やっぱり皆こういうのには気持ちが添うんだ。 BN時代のフレディ・レッドの枝葉を落としても、こうはならないだろう。ひとっ飛びしただけある。 FREDDIE REDD-p DIDIER LEVALLET-b DIDIER CARLIER-ds Juy 26,29 1971 FUTURA SWING 厚い音の層に包まれるアルバムだが、コルトレーン名義でありながら、実はペッパー・アダムズとセシル・ペインの2バリトンに挟まれてコルトレーンが参加したものというのが正確なようだ。 コルトレーンの初のリーダーアルバムに先立って録音されたもので同種楽器シリーズの一枚ということらしい。 しかしながら、初期のコルトレーンらしさを聴きとれる新鮮さとバリトンがメインのアルバムだと知ってしまえば決してわるくはないと思う。 重々しいサウンドに胃もたれしそうだという人もいるが、それなら食後に聴かなきゃいい。 John Cltrane-ts, Pepper Adamus, Cecil Pane,-bs, mal Waldron-p, doug Watkins-b, Art Taylor-ds 1957 Prestige 雲の加減で窓から射し込む濃淡の違う陽光を静かに愉しむ時間のうつろいを感じるようなアルバムだと思って聴いてきたけれど、案外躍動的な面にも気が付いてきた。 ハル・ギャルパーがチェットのために書いたタイトル曲Mr.Bもトリッキーな曲想で、早いテンポで躍動する。 濃淡の違う陽光を感じると言えば、最後のこのアルバムでピアノを弾いているミッシェル・グレイエが書いたFather X-masには唯一参加しているフイリップ・カテリーネ?(Philip Cathrine)のギターの哀感の効果がそう感じさせるのだろうか。 ハービー・ハンコックのDOLPHIN DANCEのベイカーのホーンの枯れ具合が、染み入るように浸透してくる。 そしてミッシェル・グレイエとリカルド・デルフラのしっとりとした内省的なサポートが効いている。 Chet Baker -tp, Michel Graillier-p, Ricard Del Fra-b,* Philip Cathrine-g 1983
by jamal2
| 2023-02-15 08:11
| 古本かジャズ
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